次長とは?役割・将来性・転職市場での評価について

銀行

多くの組織で次長という肩書きを目にしますが、どんな立場の人なのか新入社員の人には分かりづらいかもしれませんね。

また、これから次長になる中堅社員の方や既に次長になられている方としては求められる役割や将来・転職市場での評価について気になるかと思います。

  • 副支店長・次長ってどんな立場の人なの?偉い人なの?
  • どんな仕事をしているの?
  • 将来性や転職は?

今回は次長について、銀行組織を事例に説明していきたいと思います。

銀行組織に限らず、一般企業にも同様のことが言えますので是非参考にしてください。

次長とは

上の図は銀行組織の一般的なヒエラルキーです。左が営業店における役職名、右が本部における役職名です。

厳密な順序で言えば、

  • 支店長 → 副支店長 → 次長(以上管理職)
  • 支店長代理 → 係長(以上中間管理職)
  • 主任(ギリギリ中間管理職?一般行員寄り?) → 一般行員です。

銀行・支店の規模にもよりますが、副支店長・次長を両方配属している店舗や、次のみという店舗もあります。一般的には、支店長の次に権限がある『次席者』と呼ばれます。

次席者の役割

次席者は営業店運営上、鍵となる人物です。

こちらの図は銀行の店舗内部の役職別人員配置です。各係の責任者である中間管理職(支店長代理・係長)が担当係の主任・一般行員を管理する役割を、次席者は中間管理職を管理する役割を担っています。

次席者は店舗運営の舵取りをしていると言って過言でありません。対顧客上、上司である支店長を立てる時もあれば、部下をけん引する時は強烈なリーダーシップを求められる場面や時にもあります。

支店長と次席者の関係性を上の図で説明すると、基本的には『支店長のトップ下』というポジションですが、時に『支店長と2トップ』となったり、時に『中間管理職の位置まで下がり係の現場のサポート』をすることもあり、非常に運動量が多いポジションです。

これらのことから、『支店長の補佐・部下の補助』、『支店長と部下をつなぐ架け橋』が次席者に求められる役割と考えられます。

支店長の補佐・部下の補助

よくある表現として、『支店長の右腕』です。支店長の役割が営業店全体の運営状況管理及び業務活動の立案・推進の最終責任者であるのに対し、営業店内部及び行員の管理や業務の遂行状況管理が次席者の役割になります。

今の説明を読んで『何が違うの?』となると思いますが、少しだけかみ砕くと、支店長・次席者共に管理職であることに変わりはありませんが、次席者の方が少しだけ現場寄りです。

各係の運営に関しては、支店長代理・係長といった中間管理職を筆頭に主任・一般行員が現場を回していますが、係ごとの現場力は常に一定とは限りません。

  • 行員によって得意不得意がある。
  • 経験年数によって、業務知識や仕事の仕上がり状況に差が出る。
  • 有給休暇等欠員による現場の駒不足。

このように現場力が変動することは、人間が運営する組織なので止むをえません。新型コロナ禍により、現場力がいとも簡単に崩れることを実感した組織は多いのではないかと思います。

しかし、組織である以上現場力の変動は極力抑える必要があります。次席者は各係の業務運営が適切に行われるよう、各係の中間管理職に直接指示を出したり、時に次席者自身が現場の運営者となることによって現場力を一定にすることが求められ、これこそ次席者の腕の見せ所と言えます。

こうして現場力を一定にしながらも、現場の強みや弱みを的確に把握し、それを吸い上げることによって、支店長の役割である『業務活動の立案・推進』を遂行するにあたっての問題点を整理し、それを落とし込んだ上で最適な戦略を立案するのが次席者の役割です。

次席者とは支店長にとって

  • 最も頼れるビジネスパートナー
  • 最も頼れる縁の下の力持ち

支店長と各係の橋渡し役

  • 各係の責任者から部下の状況を把握し、支店長に吸い上げる。
  • 支店長が描いたビジョンを各係の業務に落とし込んだ戦略化とし、責任者に伝える。

これらが次席者に求められる『橋渡し役』です。この役割が機能していないとなると、営業店は内部分断を起こしてしまい、機能不全に陥るかもしれません。

上司にも部下にも、問題がある行員はいるものです。上司に問題がある場合には次席者がワンクッション挟むことで部下を守る必要があります。特定の部署の中間管理職に問題がある場合、次席者が適切に関与することで、中間管理職以下に対しても業務遂行における意思疎通がスムーズに行うことができます。

上司からも部下からも、次席者に対する期待は大きいものです。皆が皆優秀な行員とは限らず、常に優秀なメンバーに囲まれるとは限りません。次席者の振る舞い次第では、上司である支店長も、部下である特定の部署も孤立化させてしまいかねません。

逆に、上司・部下ともに優秀なメンバーに囲まれた次席者は、割と大きな負担なく日々の業務を遂行できます。周りの人次第という面がありますが、それも管理職についてまわる運命です。

次席者は組織図上では管理職ですが、私が考えるには、本当の意味での中間管理職にあたるポジションであると考えます。

次席者の辛いところ

次席者には辛いことがたくさんあります。キャリア形成の過程で何才までに次席者になると目標を決めている人も当然いるでしょう。そこで、次席者として過ごす時間を如何に想定しておくかは重要なポイントです。こんなはずではなかったということが無いよう、しっかり想定しておきましょう。

苦情対応

『どういうことだ!支店長を出せ!』という怒鳴り声聞いたことありませんか?このような場合、支店長は出てきません。基本的に対応するのは、次席者と支店長代理・係長など苦情を生んだ部署の責任者です。

苦情が発生するのは業務運営上仕方がないことですが、『支店長を出せ』と要求してくる客は、きっと社会のヒエラルキーを理解していないのかなと常々腹の中で思っていますが、それでも対応しなければならないのが苦情です。

支店長は最終責任者です。いざ支店長が苦情対応の最前線に出て誤った対応をした場合、軌道修正が困難になります。支店長は苦情対応を誤った方向に持っていかないよう管理し、時と場合に応じ適切な指示を出すことで苦情解決に持っていくのが仕事です。

仕事にはいろいろありますが、苦情対応が好きという人はおそらくいないと思います。当日中に解決できず持ち越すと、ものすごく気が重くなってしまいます。

私の経験上、それが原因で心を病む人もいます。あまり重く考えず、できないことはできない、すぐに回答できないことはできない、余計なことはしゃべらない、を基本に気負わずやれば良いと思います。

反社対応

これも苦情対応と同じで、最終責任者である支店長を出さないのが鉄則です。

心理的にも事案的にも、苦情対応より大変かと思います。

関連部署にしっかり指示を仰いで対処しましょう。

とにかく仕事が集まる

次席者には仕事が集まるものです。

  • 次席者本来の仕事
  • 各係からまわってくる書類の検証
  • 各係から随時飛び込んでくる相談事
  • 各係の業務遂行管理
  • 進捗が遅い部署の仕事の手伝い
  • 支店長からの依頼事
  • 本部の電話対応
  • 役員・本部行員来客時の対応
  • 親睦会・旅行会・ゴルフ会の運営
  • その他雑務

次席者はとにかく忙しく、上に書いた業務も氷山の一角です。

楽しく仕事をするためには『デキル男・デキル女には仕事が集まる』と思い込んでください。

次長の将来性

ここまで次長の仕事の大変さの一部をお伝えしましたが、この先どうなるかということが気になるポイントかと思いますので、説明していきます。

出世について

更なる出世については次長になる時よりもハードルが高くなると言えるでしょう。

上に上がれば上がるほど、次の段階に上がるのは狭き門となります。これは銀行特有の文化でなく、大多数の企業に当てはまることです。

次長までの出世階段をスムーズに昇ってきた方でしたら、支店長への昇格もスムーズかもしれませんね。

一方で、次長まで苦労してようやくたどり着いたという人は、しばらくの間、もしくは晩年まで次長で留まらざるをえないことを覚悟しておいた方が良いでしょう。

仮に次長まで出世したとしても、「次長になるまで何年かかった」というレッテルは一生付きまといます。

また、スムーズに出世してきた方も今後も同じように行くとは限りません。

ご存知の通り、銀行組織は店舗集約など経営合理化の真っ只中です。

支店長ポスト等次長より上のポストは、今後減ることはあっても増えることは考えにくいでしょう。

年収について

銀行の給与テーブルは役職による部分が大きいです。

次長以後も順調に出世を重ねていけば、年収も順調に伸びていきますが、次長止まりだと、年収もそこで頭打ちです。

さらに次長どまりだと、昨今の銀行を取り巻く経営環境下では、現在の年収を維持することが困難という銀行も出てくるでしょう。

実際、給与規定変更に踏み切る銀行も出てきており、年収ダウンの影響を受けたという声も実際にあります。

年収を増やす方法

年収を増やすために一番確実な方法は出世することです。

しかし、先ほど説明したとおり出世するためは乗り越えるべき山が多数あります。

出世できなければ、待てど暮らせど年収は上がりません。

そこで、手っ取り早く年収を増やしたいという方には転職も一つの選択肢であることをお伝えします。

次長の社会的評価

転職市場での次長の評価は非常に高いものです。

採用する側としては次長としての経験値をなによりも評価し、あなた自身も次長としての経験が唯一無二の強みになります。

これこそまさにWIN-WINの関係と言えるでしょう。

転職に迷っている方もいるかと思いますが、

転職するしない関わらず、他企業の評価(年収)を確認してみると良いでしょう。

転職活動をすることによって、「今の年収の妥当性も分かり、このまま銀行員を続けることにした」という方も実際にいます。

次長だからこそ狙えるハイクラス転職があり、次長だからこそじっくり転職活動ができる経済的余裕があるので、納得するまで活動してみるのも良いでしょう。

転職にリスクはあっても、転職活動自体はノーリスクです。

まとめ

いかがでしたか。次長について少しでもイメージしていただければ幸いです。

次長というポジションは、良い意味でも悪い意味でも長くいる場所ではありません。

良い意味では、早く次のステージつまり支店長を目指してくださいという意味。

悪い意味では、長く居座ると身も心も削られますよという意味。

しかし、次長という時間を如何に過ごすかが、今後の銀行員生活を送る上でのポイントになります。

ダラダラと過ごせば万年次席者どまりか、支店長になっても『どうしてあの人支店長になれたの?』と変な意味で有名になります。

支店長を見据えしっかり実力を着ければ、支店長昇格後もきっと実力を発揮でき、正当な評価がされるでしょう。

そして、支店長としての名声のみならず、その先更なる上のステップに上がれるかもしれませんね。

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隼人パパ

元銀行員コンサルタント。
銀行員時代に培った金融知識と1000名以上の経営者と商談した経験を活かし、個々人のより良い生活はもちろん、企業をより良い場所にすることで、そこに属する従業員の幸福を実現するサポートをします。
≪資格≫ファイナンシャルプランナー、生保募集人資格・損保募集人資格、内部管理責任者 他

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